「AIが自動で稼ぐ」という投資の誘いは、まず詐欺を疑ってください。AI投資詐欺の見分け方は3つだけです。①業者が金融庁に登録されているか ②入金先が個人名義の口座になっていないか ③「政府公認」などの言葉で信用させようとしていないか——この確認で、その場で判断できます。今日の授業では、警察庁の最新データと実際に確認されている手口を一緒に見ていきましょう。
SNS投資詐欺、被害はどれくらい増えている?

警察庁の発表(令和8年3月末時点・暫定値)によると、SNS型投資詐欺の被害額は456.1億円。前の年の同じ時期と比べて326.0億円も増えました。特殊詐欺全体の被害額937.9億円のうち、ほぼ半分(48.6%)をこの手口が占めています。1件あたりの被害額は1,351.4万円と、他の詐欺と比べても飛び抜けて高額です。
ほかの手口と並べてみると、深刻さがよくわかります。
| 手口 | 被害額(前年同期比) | 1件あたりの被害額 |
|---|---|---|
| SNS型投資詐欺 | 456.1億円(+326.0億円) | 1,351.4万円 |
| ニセ警察詐欺 | 222.4億円(+50.7億円) | 1,029.0万円 |
| SNS型ロマンス詐欺 | 135.9億円(+18.0億円) | 1,041.4万円 |
| 架空料金請求詐欺 | 43.4億円(+4.7億円) | 290.3万円 |
| オレオレ詐欺 | 30.4億円(−2.1億円) | 401.1万円 |
出典:警察庁「令和8年3月末における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」(既遂1件あたりの被害額)
「自分だけは騙されない」という思い込みが一番危ないと、警察庁も注意を呼びかけています。被害者は高齢者だけではありません。SNSで投資情報を集める習慣のある現役世代こそ、入り口に立ちやすいのです。
「AIが自動で稼ぐ」に潜むワナ
金融庁が公開している事例集には、こんな手口が載っています。「AI診断」をうたい文句にウェブサイトへ誘い込み、もっともらしい分析レポートを見せてSNSへ誘導し、投資話を持ちかけるパターンです。意外に思うかもしれませんが、AIという言葉自体には特別な力はありません。「AIだから絶対に儲かる」と言われたら、そこはむしろ警戒するところです。
よくある手口と、その場で見抜くポイントを表にまとめました。
| 手口 | 典型的な流れ | 見抜くポイント |
|---|---|---|
| AI診断サイト | 「AIがあなた向けの銘柄を診断」→レポート提示→SNS・LINEへ誘導 | 診断の中身より「個別チャットへの誘導」が目的。誘導されたら警戒 |
| 偽の投資アプリ | 証券口座風のアプリに入金→画面上だけ利益が増える | 振り込んだ額と同じ数字が「利益」として表示されるだけ。出金申請で本性が出る |
| 偽サイト・なりすまし | 実在する証券会社・運用会社に似せた名前やロゴで信用させる | 金融庁の登録検索で正式名称を確認。1文字違いの社名に注意 |
| 出金トラブル型 | 最初は少額の出金に応じる→高額になると「税金」「手数料」を理由に拒否 | 出金に追加入金を求められたら、その時点で詐欺と判断してよい |
とくに最後の「出金するにはお金が必要」は決定的なサインです。正規の証券会社が、出金のために追加の入金を求めることはありません。ここだけ押さえておけば大丈夫です。
暗号資産・偽サイトの見分け方
次の3つは、迷ったときに30秒で確認できるチェックポイントです。
- 取引する業者が、金融商品取引業や暗号資産交換業の登録を受けているか。金融庁の「金融事業者一括検索」で名称や電話番号から調べられます。
- 個人名義の銀行口座への入金を求められていないか。証券会社が入金先に個人名義の口座を指定することはありません。
- 「政府公認」「金融庁の免許がある」といった言葉で信用させようとしていないか。行政機関が特定の会社の取引を推奨することはありません。
たとえば、フリマアプリで偽ブランド品を見分けるとき、正規品にはあるはずのタグや品質表示がなかったり、値段が相場より不自然に安かったりすると疑いますよね。投資の誘いも同じで、「話がうますぎる」「確認できる登録情報がない」と感じたら、それはもう詐欺を疑うサインです。焦って入金する前に、いったん立ち止まって確認する。それだけで多くの被害を防げます。
あわせて、SMSで届く偽サイトの見分け方も確認しておくと安心です。
もし入金してしまったら
万が一お金を振り込んでしまっても、あわてなくて大丈夫です。すぐに動けば、被害の拡大を止められる場合があります。
- まず振込先の銀行と警察に連絡します。振り込め詐欺救済法により、犯人の口座を凍結できれば、残っているお金が戻る可能性があります。
- 相談先に迷ったら、警察相談専用窓口「#9110」か、消費者ホットライン「188」に電話してください。
- 相手とのやり取り(SNSのメッセージ・振込記録・サイトのURL)は消さずに残しておきましょう。捜査や被害回復の大切な証拠になります。
「追加でお金を払えば取り返せる」と持ちかけてくる“被害回復詐欺”もあります。被害にあった直後こそ、二次被害に気をつけてください。
むずかしいことばのコーナー
暗号資産(あんごうしさん)=ビットコインなど、インターネット上でやり取りできるデジタルのお金のこと。金融商品取引業(きんゆうしょうひんとりひきぎょう)=株や投資信託などを扱うために国の登録が必要な仕事のこと。口座凍結(こうざとうけつ)=銀行が口座からお金を出せないように止めること。
よくある質問
Q1. AIを使った投資サービスはぜんぶ詐欺なのですか?
いいえ、ぜんぶではありません。金融庁に登録された証券会社が提供するロボアドバイザーなど、正規のサービスもあります。見分けるポイントは「サービスの中身」ではなく「提供している業者が登録を受けているか」です。登録の確認ができない業者は、AIかどうかに関係なく避けてください。
Q2. SNSで有名人が勧めていた投資も危ないのでしょうか?
有名人や投資家をかたる偽アカウント・偽広告が多数確認されています。本人が本当に勧めているとは限りません。広告から誘導されたLINEグループやチャットでの投資話は、まず詐欺を疑ってください。
Q3. 振り込んでしまったお金は戻ってきますか?
必ず戻るとは限りませんが、早く動くほど可能性は高くなります。振込先の銀行と警察にすぐ連絡し、口座の凍結を依頼してください。犯人の口座にお金が残っていれば、振り込め詐欺救済法の手続きで戻る場合があります。
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参考:警察庁「令和8年3月末における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」、金融庁「それ詐欺です!SNS上の投資勧誘にご注意ください!」
今日のまとめ
- SNS型投資詐欺の被害額は456.1億円(令和8年3月末・前年同期比+326.0億円)と急増し、特殊詐欺全体の約半分を占める
- 「AI診断」「政府公認」などの言葉は、それだけでは信用の理由にならない。出金に追加入金を求められたら詐欺と判断してよい
- 迷ったら業者の登録確認、被害にあったら銀行と警察(#9110)へすぐ連絡
今日の授業はここまで! 次回もお楽しみに。


